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富士山五合目の日々 2

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7/25(日)
富士山五合目の駐車場は狭くてすぐに満車になって
駐車出来ない車で混雑・渋滞する。

そのため、来訪者の多い金曜夜から日曜まではガードマンが
交通整理に出る。
駐車場が満杯になると路上駐車はだんだん下に延びて行き
24日(土)の路駐は最長7kmだったそうだ。
因みに五合目から山頂までの距離は約5km。

富士登山する前に五合目に来るだけで疲れてしまうのでは
ないかと他人事ながら心配になる。

マイカー規制のかからない来週末(7/30〜8/1)はもっと
混雑すると予想される。
こんな事なら登山期間中、ずっとマイカー規制をすれば
良いと思うのだが、中々そうはならないらしい。


 ← 富士山スカイライン登山区間の路上駐車の列
7/26(月)
今日五合目の臨時派出所に来たお巡りさん、開口一番
「煙草を吸う所はないですかね?」
 そして、二人で休憩所に上がり込み動こうとしない。
痺れを切らして「外に立ったり巡回して貰えると有りがたい
のですが」と言っても「我々は勤務例に従ってやっている」
とのたまう。何のために五合目に来たのか分かっていない。
「昨日のお巡りさんはずっと外に出て動き放しだった」と
言っても「好きでやってたんでしょう」

しかし、昼頃になると登山者に声をかけたり横断歩道
に立ったり俄然動きが良くなった。 何で???
朝からこうしてくれればお互いに気分良く仕事が出来たのに・・・。

真言宗の僧侶の皆さん、古式豊かな装束で下山してきたので
一枚撮らせていただいた。
杖にはあちこちの山の焼印が押してある。
全国の山を登って歩いているのだそうだ。
7/28(水)
車椅子で富士山に登る人がいるという話を聞いた。
そしたら昨日、NHKでそのニュースを取り上げていた。

遠位型イオパチーという、手先足先から筋肉が次第に萎縮し
やがて寝たきりになってしまう進行性の難病なのだそうだ。

そんな病気にもかかわらず明るく元気に生きている中岡さんを
SORDというNPOと全国から集まったボランティアスタッフと
総勢約40人がサポート、富士山頂を目指した。

天気予報は今日明日とも晴れのち一時雨または雷雨、
九州の西の海上にある熱帯低気圧の影響が気になる。


下の写真はフランス製の車椅子、水陸両用なのだとか。
ちょっと触らせてもらったが軽い。2輪でも3輪でも動ける
ようになっていて操作もやり易そう。
この車椅子を何人かのボランティアが交互に曳いて
ブルドーザーの道を上る。三浦雄一郎さんも中岡さんの
ファンだとか、今回も富士登山に同行した。

五合目は昼過ぎから雨が断続して降った。
一行も途中から降られたのではと心配していたが、
夜のニュースで無事に九合目に到着したと放送していた。

明日午前2時に山小屋を出発し山頂を目指すそうだ。
ご来光を見られると良いのだが・・・。



翌29日、雨と風の中を三浦さんとガイドの實川さんが
下りて来た。「1:30ころ小屋を出て強引に山頂まで
行って来たよ」との事。
ご来光は拝めなかったというものの中岡さんは念願の
山頂に立ったそうだ。
シャジン 7/29(木)
雨の日は花を撮ろうと思っている。朝の出勤時、車を運転中
にバスの駐車場の上のカーブでシャジンを見つけた。
晴れている日は車の通行量が多く写真を撮れる場所ではない。

今日は台風並みの雨と風、上って来る車は非常に少ない。
雨と風が少し治まった時を見計らい、カメラを持って出掛けた
がすぐに降られてしまった。
風で揺れている花を撮ったのでブレ気味の写真。

シャジンは多くの種類があるというので自信はないが
名前はたぶんヒメシャジン。

台風のような雨と風は一日中弱まらず、連続雨量が200mm
に達してしまい土砂崩れなどの危険性もあり帰宅命令。
16:00から仕事の人も1時間程勤めて皆と一緒に
帰ることになった。

数は少ないが、そんな中を五合目に上って来る車はあるし、
登ろうとする人もいる。事故の無いことを願う。
17個の花を付けたクルマユリ
佐々木さんも富士山の魅力に取り憑かれた一人。
NHKの熱中人にも取り上げられた人、幾つかの雑誌でも
紹介されている。

ボランティアで山小屋へ新聞を届けながら、ほぼ毎日
富士山に登って通算で730回以上になるのだそうだ。
今日もヘルメットを被り富士山から下って来た。

若い時から山登りをされている方とばかり思っていたが、
60歳を過ぎてからと聞いてびっくり。足柄峠から金時山への
登山は千二百数十回を数えるそうだ。
富士山は金時山で知り合った人たちに連れて来てもらった
のが最初で64歳の時だったとか。

御歳70歳、頂上まで2時間半で登るというからすごい。

佐々木さんは私の「富士山の魅力って何ですか?」との質問に
丁寧に答えてくれたのだが、私の拙い文章では佐々木さんの
富士山への思いを十分に表すことは出来ない。
イタドリ メイゲツソウ(ベニイタドリ)
7/31(土)夜には五合目駐車場から溢れた車の路上駐車が10km下、高鉢駐車場近くまで延びたと連絡があった。
ここから五合目に向かう人は2時間30分くらい歩かなければならない。五合目の駐車場では3時間くらい車が全く動かず、
多くの登山者からもクレームをつけられたそうだ。マイカー規制のかからない週末はもうどうにもならない状態。
夏山登山期間中の全日をマイカー規制した方が良いとほとんどの人が考えているようだが、条例の改正やバスの採算性等
越えなければならないハードルがいくつかあるのだそうだ。
マルバダケブキ(1600m付近)
大雨の深夜、3人が下山してきた。タクシーを呼んで欲しい
との事だったが一人がびしょ濡れ、寒いと言って顔色が青い。
詰め所で休ませてストーブを焚いてやった。7合目で諦めて
下りて来たそうだが「これ以上登ったら死ぬと思った」と
言っていた。
リーダーらしき人が「富士山を甘く見過ぎたかな」とポツリ。
1時間ほどでタクシーが来て富士宮の花の湯に向かった。

富士山は風が強く雨が下から降る。ポンチョやレインコートの
ような雨具では濡れてしまう。靴も防水のものが欲しい。
気温が5〜6℃の山頂で着衣が濡れていたら低体温症になる
可能性大。

他の山では夜間に登るようなことはほとんどない。ところが
富士山は、どんな装備が必要かもわからない山の初心者が
雨の日の夜間にも登って行く。
「雨具持ってますか」と声をかけると、明らかに持っていない
と分かる人が「大丈夫です」
「濡れたら早めに引き返して下さいね」と言うしかない。
8/4(水) 富士市と静岡市の明かり
下山者にアンケートの記入を依頼する仕事が増えた。
そのためか、山小屋への不満を我々がストレートに受ける
ようになった。

山頂の小屋では夜7時に鍵を閉めてしまい外からの登山客を
シャットアウトする代わりに宿泊者も外に出してくれない。
なので星空も夜景も見ることが出来なかった。
朝は4時に部屋を追い出された。おまけにご来光の時間に
食事とは登山客を何だと思っているのか! 

これでは山小屋の都合を登山客へ押し付けているだけ、
サービス心は微塵も感じられない。あちこちのサイトでも
同様の書き込みが多数見られる。
特に不満の多いのが富士宮市の観光事業の要職にある
人の経営する山小屋であるという事実は、フードバレー構想
を打ち出している富士宮市の観光に対する姿勢、本気度にも
疑問符が付く。

「富士山は高さが日本一だけどサービスは日本一悪いと
ちゃうか?」と言う登山客に対して我々は返答に窮してしまう。
ギボウシ
富士山スカイライン登山区間の道路沿いに咲いている
ギボウシ? 何という種類か調べようと思っても葉っぱがない。

富士山では鹿をしょっちゅう見かけるので、もしかしたら鹿が
食べてしまうのかもと思っていた。

以前、私が下から歩いた時に、数多くのお花を見つけた。
その道路沿いの草を業者が草刈り機で綺麗に刈っていた。

ギボウシは葉が刈り取られた後で花が咲いたのかも知れない。

登山者には高山植物を採らないでと言いながら県は
草刈り機で刈り取ってしまう。

なんだかな??? 分からん。


身障者用駐車場 水ヶ塚公園から
五合目の登山口近くに身障者用の駐車スペースが2台分ある。
私は車椅子の人や歩行が困難な人用に空けておきたい
と思うのだが耳の不自由な人など歩く事が出来る人も
当然のごとく身障者手帳を見せて進入防止用のバリケード
を退かすのを待っている。

「足の悪い方ですか?」「車椅子の方を優先させていただけ
ませんか」と言っても「手帳を持っている」の一点張り。
今日は富士登山に来た身障者の車が身障者用の駐車場を
埋めてしまった。

自力で富士山へ歩いて登れる人に身障者用の駐車場が
必要か? 歩く事が不自由な人を乗せた車が駐車出来ずに
五合目の散策を諦めて下って行く。

健常者が身障者を労わるのは当然だが、身障者同士の間でも
もっと思いやりがあって良いのでは・・・。
言い方は悪いが、身体の障害を特権と勘違いしているような
気がしてならなかった。
ツリフネソウ ウバユリ
ヨツバヒヨドリ 8/6(金)
23時頃「怪我をして後を歩いてきた友人がまだ戻らない」との
通報。事情を聞くと、怪我をした友人が遅れてしまい
「先に行ってくれ」と言ったから先に下ったとの話。
電池の切れたケータイに100Vの電源を繋いで電話させると
六合目の上を下山中と事、友人の一人と迎えに行った。
しかし、捜しても暫く待っても見つからず。同行した一人を
五合目に帰し、新七合目まであと100mくらいのところまで
行ってやっと見つけた。元祖七合目の下が六合目と勘違いした
らしい。聞くと脹脛を痛めたとの事で下るのはかなりきつそう。
そこからゆっくりゆっくり休みながらの下り、3時間半かけて
五合目に着いた。時刻は4:30東の空が赤く染まり始めていた。

怪我をした仲間を置き去りにして下ってしまった友人達に
腹を立てていたのだが、その友人達は明日仕事がある
からと、怪我をした仲間と一台の車を残し、先に新幹線で
神戸に帰ってしまったそうだ。

山のパーティーは下山するまで同一行動が原則、でも、
富士山ではそれが通用しない。先に下りた人が
「同行者が戻って来ない」との届け出る事例が異常に多い。
8/7(土)
今日も遭難騒ぎ。足を捻ってしまった人が下るのが遅れ気味
になるので先に下りたという2人が臨時派出所に相談に来た。

お巡りさんが怪我した本人と電話で話すと「動けないから救助
を頼む」との事。警察と消防の山岳救助隊が出動、救助に
向かったのだが下りてきたのは23時半を過ぎた。
救助隊員は疲れ顔、ブル道をソリに乗せて曳いてきたのだが
ソリが途中で壊れてしまったそうだ。
体重が130kgあるという遭難者は至って元気、救急車も必要
なく自分達で病院へ行くと言う。
どうやら自力で下りる気力がなくなり楽な方法を選択した?
様子。同行者が一緒に下りてやれば時間はかかっても
自力で下りられたのではないかと思える。

昨日の騒ぎもそうだが、一緒に登った人達が怪我人を置き去り
にして下ってしまい、暫くしてから帰って来ないと詰め所に来る。
その後も外国人のグループが「一人逸れてしまった」と言って
来た。
富士登山の装備
普通、初めて登る山が北岳や穂高という人は先ずいない。        
いくつかの山を登ってみて北岳や穂高にたどり着く。
そうすると山の装備など自然と分かってくる。

日本一の富士山は、他の山へは登った事がないという人が夜間、
雨の中を登って行く。なので、ポンチョやビニール製のレインコート
を着て平気で登る。雨が下から降る富士山ではポンチョや
ビニール製レインコートは役に立たない。
それを言っても「大丈夫!」との返事。大丈夫じゃないからこちらも
注意するのだが聞く耳を持たない。

その格好で下山して来る人は下半身ずぶ濡れ、靴の中も
グチョグチョ、経験してみて初めて「富士山を甘く見過ぎた」と言う。

富士山の日の出前の気温は4〜6℃、濡れて風に吹かれれば
体感温度はもっと下がる。
雨が降っても降らなくても、風が吹いても破れない上下に分かれた
雨具、防水の登山靴と足首から水が入らないようにスパッツは
必ず用意して欲しい。
台風接近、雲の流れが速い
富士山に登ると空気が薄いせいか疲れのためか忘れ物や落し物
が多い。六合目辺りで休憩した時ザックを背負い忘れ、
九合目まで気が付かなかった等という笑える出来事もあった。

財布をトイレに置き忘れたという人がいた。現金が8万円程入って
いたとの事。出てくる可能性は低いだろうと言いながらも
取り合えず必要事項を書いてもらっておいた。
そしたら山小屋からお客さんが財布を拾ったと連絡があった。
早速落とし主に連絡、料金着払いで送ることになった。

車のキーとケータイと財布の入った袋を山小屋のテーブルの上に
置き忘れたという人がいた。車の中に着替えがあるとの事でJAF
を呼んで車を開けて帰れるように手配。
この人達が帰ってから拾ったと届け出があった。東南アジア系の
若者2人だった。

「日本だけだよこんな事」と通訳のA氏「外国では失くした財布が
出てくるなんて考えられないよ」と言う。


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