富士山五合目の日々
2010年の夏はひょんな事から富士山の五合目でバイトすることになった。
7/1から9/5までのほぼ2ヶ月間、四十数日を過ごす。
五合目から眺める景色はもちろん、多くの人たちとの出会いも楽しみ。
折角の機会なので見たこと感じたことをHPに記しておこうと思う。
山歩き | 富士山五合目の日々2 >> |
7/1(木) | 行方不明 |
「富士山に登ると言って家を出て |
通行止め | 7/2(金) |
表富士宮口登山道は現在八合目以上は通行止め。 |
富士山に844回登ったという御歳67歳の人に会った。 今年中に1000回を目指すとの事で1日2回ずつ登るのだそうだ。 登りに掛かる時間は約2時間半、 走って行くのではないかと思える驚異的なスピード。 夕方には2度目の登山を終えて下りてくる。 暫く話して名刺をいただいた。 昨年から表富士宮口の登山ガイドをなさっていのだそうだ。 五合目での2ヶ月間、色々とお世話になることだろう。 ← 六合目の小屋と宝永山 |
遭難騒ぎ | |
7/2 17:00頃五合目にきて何を思ったかそのまま登り始めた青年、 何の準備もせず九合目まで登ってしまい、寒さと暗くて前が 見えなく心細くなったと119番に助けを求めたそうだ。 消防と警察の救助隊が救助の向かったが本人は自力で六合目 まで下りてきた。自力で下りられるのに何で119番に電話する のかと思うのだが、日本一の山だけに富士山は色々な 登山者も多い。 それに類する話が7/1にもあった。何の準備もせずに夜間登った 3人組、6合目の小屋の前で靴を脱いで豆がつぶれた足を さすっていた。荷物は1リットルのペットボトル1本だけ。 後から下りてきた登山者から「何も持たないで登っている 3人組に水を1リットル分けてあげた」という話を聞いた。 もしも天気が急変したら、水を分けて貰えなかったらと思うと ぞっとする。 これからの2ヶ月間が無事に終わる事を祈りたい。 六合目小屋脇からの登山道 → |
富士山は岩と石ころばかりで面白くない山という声を時々聞く。 今日もそう言う人がいた。 五合目の駐車場から下へ歩いて何種類かの花を見つけた。 グンナイフウロ、シロバナヘビイチゴ、フジハタザオ、 キジムシロ、コケモモ等々。 今の時期、樹林帯の緑はまだ若いしこれからもっと多くの花が 咲くだろう。 富士宮口や登山者の最も多い富士スバルライン口五合目は 樹林帯は車でらくらくと登ってしまい森林限界から登り始める。 これでは岩や石ころだけになってしまうのは当たり前。 富士山はつまらないと言う人、海抜ゼロからとは言わないが 是非スカイライン辺りからでも歩いてください。 ← 富士山五合目に咲くグンナイフウロ |
昨年夏、落石が五合目駐車場に停めてあった車を直撃する 事故があった。その対策として出来上がった防護壁。 → 左側のフェンスが今までのもの、右側の厚い堤が今回設置 した防護壁。約50台分の駐車スペースが減ってしまったそうだ。 マイカー規制の時以外の週末の渋滞が心配。 2010年のマイカー規制 7/16 17:00 〜7/19 17:00 8/6 17:00 〜 8/15 17:00 8/20 17:00 〜8/22 17:00 マイカーは7/16から8/22までずっと規制した方が混雑が緩和 され、車の流れがスムーズになると思うのだが・・・。 |
7/8(木) | |
富士山に通い始めて1週間が経った。まだまだ登山客は少ない 時期なのだが遭難騒ぎが多いのが気になる。 深夜に登って雨に打たれ低体温症になってしまった外国人男性等、昨夜もレスキューの出動が2件あったそうだ。 軽装でしかも帰国の期日が迫って無理して登る外国人が多く なっているようだ。簡単に登れるという印象を持たれる外国人 向けのパンフレットなども影響しているらしい。 今日も、ろくに荷物も持たず登ろうとしているフランス人、 サンダル履きで登って来たスイス人、ミニスカートにパンプスで 歩いている中国人等、一歩間違えばと思う例が少なからずあった。 ← 雲海に浮かぶ愛鷹山 |
7/9(金) | |
表富士宮口の登山道は昨夜(8日)の午前0時より山頂まで 開通した。 7/1にお山開きをして以来、表富士宮口は八合目以上が通行 止めだった。我々は土木事務所が通行止めを解除しなかった ので登山客に聞かれると「通れません」と言うしかなかった。 下りて来る登山者に聞くとほとんどが「山頂まで行って来ました」 との答え。何とも割り切れない問答。 山頂までの開通に合わせ全ての山小屋がOPENする。 「泊めてやるという態度で感じが悪い」と多くの登山者が認める 富士山の山小屋だが、少しずつ改善されているとの事だ。 国から多くの補助金を貰って作ったトイレは本来チップ制に すべきだと思うが、山小屋の関係者は「登山客のマナーが 悪いから」と現状は有料トイレになってしまっている。 なので富士登山には100円玉を多めに持って行くべし。 六合目以上は通行止めになっていた御殿場口も9日の 正午に全線開通。 宝永山火口の縁より山頂 → |
マイヅルソウ | フジハタザオ |
影富士 | |
影富士は朝5時半頃、富士山表富士宮口五合目から。
同じ時刻、知人が富士登山に出掛けた。 夕方までには帰ってくるだろうと思っていたが 中々帰らず。 夜、暗くなってからフラフラしながら歩いていたオッサンに 声をかけたら何とその知人、時間は20時を回っていた。 所要時間14時間30分、本人曰く「こんなたいへんだとは 思わなかった」 標準タイムは登り4.5時間、降り3時間くらいだが 普段運動していない人がいきなりではかなりたいへん。 私もここ4ヶ月間は自転車も乗っていない。 いきなり登るのはきついかも知れない。 でも、五合目にいる間に一度は登ってみたい。 ← 影富士は午前5:30 頃、五合目レストハウスから。 |
7/19(月) | 夕焼け |
富士山に通うと下界は雨でも五合目は晴れという日が結構ある。 今日も富士山スカイラインの途中で霧が出て降られたが、 3合目を過ぎた頃から雨が上がった。 夕方19:30頃の西の空が赤く焼けてきれいだった。 こんな景色を眺めるのも富士山五合目の楽しみの一つ。 この夜は富士・富士宮はもちろんの事、清水・静岡・焼津方面の 明かりも綺麗に見えていた。 夏の夜にしては珍しく、天の川もくっきりと見えて 星もたくさん眺められた。 富士山頂近くに北極星があるので10分くらいシャッターを 開放しておくと北極星を中心に星が回っている写真が 撮れるのだそうだ。 |
ホタルブクロ | ヤマホタルブクロ |
タカネバラ | フジイバラ |
クルマユリ | 7/22(木) |
富士山に通い始めて三週間と少し、通勤途中で見る花の種類が 増えたような気がする。 このクルマユリも先日までは咲いていなかった。 今日、一輪見かけたので探してみたらあちらでもこちらでも 咲いている。 三週間経っただけだが確実に季節は移ろっている。 富士登山客は金曜夜から日曜午前中が圧倒的に多い。 マイカー規制のかからない週末、明日夕刻からは駐車場の 混雑が予想される。 駐車スペースが空くのを待つ車で何kmもの渋滞が起きる。 ちょっと憂鬱。 |
お勧めの富士登山 | 登山道入り口に設置された照明灯 |
表富士宮口は8/6から8/15まで二度目のマイカー規制が実施 される。私はこの時が富士登山のねらい目だと思う。 マイカーで五合目まで行ってしまうと往復同じコースをたどる しかない。しかも、五合目の駐車場は狭いので 駐車場の空き待ちの車で渋滞すること請合い。 でも、マイカー規制期間中は水ヶ塚公園から表富士宮口五合目、 御殿場口五合目から水ヶ塚公園間のシャトルバスが運行される。 水ヶ塚公園に駐車してシャトルバスを利用すると 富士宮口から登って御殿場下山道を下るコースが選べ 変化があって楽しさが2倍になる(当社比)。 御殿場ルートは多少距離が長いが、一歩で3m下るという 大砂走りはあっという間に五合目へ着く。 ただし、大砂走りは石が靴に入らないようスパッツ、 天気の良い日は埃が立つのでマスクとサングラスが必需品。 なお、バスの時刻などはHP等でお調べください。 |
ヤマオダマキ | 7/23(木) |
最終バスが下った19時を過ぎてから御殿場登山口からの 登山者がバス乗り場は何処かと聞いて来た。 「もうバスはありません」と言ったのだが、御殿場登山口で 貰ったパンフレットには20:00のバスがあると言う。 一緒にバス停に行って時刻表を見たがそんなバスはない。 どうしたものかと考えていると最終のバスが上って 来た。このバスは営業所の車庫に回送されるもの。 乗客が降りた後、バスの運転手に事情を話すと 会社に連絡を取って富士宮駅まで乗せてくれる事に。 登山者が乗ったバスを見送ってから御殿場市役所の 夜間受付に電話、パンフレットの時刻表の訂正を依頼した。 こんなことが雇用主に知れると「そんなことまでやれと 言ってない」と言われるのが落ちだろう。 ← 登山道の脇に咲いていたヤマオダマキ |
タイツリオウギ | |
花の名前は難しい。 例えばタイツリオウギとイワオウギは何処が違うのか? 詳しいことを知らないので写真に名前を付けるのは躊躇する。 でも、付けておかないといつまで経っても覚えない。 なので間違っていたらご指摘いただけると有りがたい。 五合目にいると植物の名前を聞かれることも多い。 聞かれると少しは覚えておかなければという気になる。 一昨日聞かれたのはミヤマヤナギ。私も些か自信がなかった ので「ナントかヤナギ」と答えておいたのだが 一日経ったらネコヤナギになってしまっていた。 昨日聞かれたのはたぶんコメツガ、一緒にあるのは ミヤマハンノキだろう。何とも心許ない限りなので人に 聞かれた時は「知らない」で通した方が無難だと思った次第。 |