7月28日

          高天原山荘から双六小屋

                 コースタイム
                 4:40高天原山荘=5:40水晶池(朝食)6:30=8:40岩苔乗越=黒部源流9:40=10:30祖父岳への分岐
                 =11:30三俣山荘11:45=12:30三俣蓮華岳と巻道の分岐(昼食)13:20=14:50双六山頂と双六小屋分岐=
                 15:10双六小屋





朝霧の立ちこめる高天ヶ原を、後ろ髪を引かれる思いで出発。高天ヶ原と言う名の通り、神秘的な雰囲気を
醸し出している土地であった。妻が‘トトロの世界’と称した傾いた高天ヶ原山荘の佇まいは何とも言えない
風情があった。ここにまた来たいとの思いで来年の夏休みのコースが決まった。

岩苔乗越を目指して岩苔小谷沿いのルートをとった。比較的緩やかな登りだ。「魚釣りに行く」という人とすれ違った。
「岩魚の刺身ををわさび醤油で食べたい」と三俣山荘を3時に出発したそうだ。「とにかく一匹釣りたい」との事だが、
人生いろいろ、趣味もいろいろ。1時間ほど歩くと水晶池の入り口に出た。せっかく来たのだからと荷物をデポし
水晶池まで歩いた。水晶岳を写す水晶池の青い湖面は竜晶池とは違う美しさがあった。

ザックの所まで戻って朝食を取っていると、見た顔が下ってきた。岡山大の医療チームの看護師さんだ。温泉に入りに
三俣山荘から日帰りで来たとの事だった。露でズボンがびしょぬれだった。我々もスパッツを付けて歩くことにした。

岩苔乗越が近付くにつれ傾斜がきつくなるが、花を眺めながらの歩きで苦にはならなかった。岩苔乗越に出て少し
下った所の大きな石に‘黒部川ここから始まる’と書いてあった。そこで休憩して源流の水でコーヒーを沸かした。
インスタントコーヒーだったが格別な味わいがある気がした。朝からこんなにのんびりした山は初めてだ。今日は双六
小屋まで行くだけという気楽さが良かった。

しばらく歩くと岡山大の医療チームの先生と学生に会った。厚い植物図鑑を持っていた学生さんに花の名前を調べて
貰った。長い立ち話をして三俣山荘11時着。昼食は巻道との分岐で取ろうと、水を補給しトイレを済ませて出掛けよう
としていると朝、水晶池の所で会った看護師さんが戻って来た。1時間程温泉に浸かってきたと言うから驚き。
看護師さんが速いのか、我々が遅いのか、両方かな?

三俣蓮華の山頂と巻道の分岐で昼食。ラジュースを準備していると妻が「鷲羽なんてどうして名付けたのかな?」と聞いた。
‘鷲が羽を広げたように見えるからだ’と何かで読んだ記憶が蘇った。ここから鷲羽を見ると、丁度羽を広げた鷲の背に乗って
いる感じだ。

昼食後、E君は稜線ルートを歩くと言う。我々は巻道を歩くことにして「双六小屋で!」と別れた。巻道ルートはアップダウンが
少なく楽なコース、E君に負けるなと歩いた。双六岳の直下に来るとつかさんと携帯が繋がった。台風のため明日の槍は中止し、
常念に変更するとの事。我々は小屋へ着いてから天気予報を聞いて決めることにした。

15:10双六小屋着。小屋は宿泊を申し込む人でごった返していた。今日は混むかなと心配したがそれ程でもなかった。丁度、
受付が混雑する時間だったようだ。トイレが水洗だったのが何より嬉しかった。

TVの天気予報を見ると台風が北西の方向にゆっくり進んでいるとの事だった。今後の進路がわからないという事、つかさん
ご夫妻には会えない事、そして、降られると私の靴底が持たないだろう事を考え合わせ、明日下山する事に決めた。


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