2004年6月13日 針の木岳

山歩きへ
針の木峠
コースタイム
自宅22:15=南アルプスIC23:20=豊科IC0:20=コンビニで食料調達=1:25扇沢
(仮眠)6:10=大沢小屋7:10=7:30雪尻7:50=マヤクボ沢出合9:20=
10:40針の木峠11:10=11:30昼食11:50=12:30針の木山頂13:00=13:50針の木峠
(2回目昼食)14:15=スキー=14:35雪尻14:45=大沢小屋14:55=針の木自然遊歩道
=16:10扇沢駐車場16:20=16:45薬師の湯17:30=20:55自宅
前回の大沢が黒部湖と剣、立山を見てないことで、何となく忘れ物があるような気分でいた。
天気予報を見ていたら次の日曜日は梅雨の中休みとの事、これを逃すと今シーズンのスキー
は終わってしまうような気がした。何としても出掛けようと思った。家人は一人で出掛けるのを
心配するが、今の時期にスキーを担いで山に行くような連れはいない。いない訳ではないが
私の歩くペースが遅くて一緒に行ってもらうのは申し訳ない。私の車にスキーは一年中積み放し、
いつでも出掛けられるようになっている。(車は意外と乾燥しているのかスキーが錆びにくい
ためもある)が、山に行くには多少の準備は必要。良く忘れるのがカメラの予備電池とメモリー
カード、地図等。一度持ち物のリストを作ろうと思うのだが、山に行ってくると忘れる。
前回同様、旅立ちは雨だったが天気予報を信じて出発した。
八ヶ岳PAから諏訪湖SA辺りは特に雨が強かった。扇沢に
着くとワンボックスのシートをフルフラットにして寝袋に入った。
朝、起きると雨は上がっていた。身支度をして出発、今回は
間違えないようにしなければ。スキーをザックに付けた2人組み
と前後して歩いた。作業用の道を歩き大沢小屋へ、小屋は
前回通ったルートの直ぐ頭上にあった。小屋を過ぎて20分程
歩くと雪渓に出た。アイゼンを着ける場所は同じなので5人が
近くに座った。挨拶と情報交換をして、また思い思いに歩き始めた。
キヌガサソウ
今日は意外と涼しい、良い風が吹く。時折太陽が顔を出すのだが、
またすぐに隠れてしまう。歩くのにはこの方が良いのかも。時間が
経つにつれ斜度がきつくなり、私の歩くペースは遅くなった。先週も
来たと言う20代と思われる青年は30度を越す斜面を平地を歩くような
スピードで歩き、あっと言う間に追い越されてしまう。私の後ろに8人
いたが、みんなに追い越され後ろには誰もいなくなってしまった。
それでも一歩ずつ足を前に出せば確実に頂上は近くなる、と自分に
言い聞かせ休憩は立ったまま。右足の脹脛が攣りそうになり更に
ペースを落とした。
針の木岳を振り返る
10:40針の木峠やっとのことで到着。眼前に見える景色でいっぺんに
疲れが飛んでしまった。峠に居合わせた2人と一緒に地図を広げて山の
名前を見た。薬師岳や裏銀座の山々、槍や穂高、燕から常念が見える。
一人はビニルシートを敷き寝転んでしまった。
2人は山頂まで行かずに
下るそうだ。私は少し腹に入れスキーとスキー靴はデポして針の木岳へ
向かった。板と靴がないと嘘のように軽い。ガレ場を歩いていると登りで
抜かされた5名のグループが下って来た。「速いね」と言ったら頂上までは
行かなかったとの事。「滑ったら下まで落っこちそうな斜度の雪田があり
トラバースするのが危険だから止めました。」私もアイゼンを外してしまったが、
確かに恐い斜面があった。もう一度アイゼンを着け直し、ついでに軽い昼食。
滑ったらピッケルがないと止められないかもしれない。下りの方が恐いなと
思いながら登った。12:30針の木岳山頂。
足下に黒部湖が見え、その上に立山が鎮座している。後立山連峰は頂上
付近が雲の中だ。どれだけ眺めていても飽きない景色だ。剣が顔を出すまで
と山頂で30分ほど粘ったが駄目だった。皮肉なもので下り始めるとすぐ剣が
見えた。雪田のトラバースは転ばないよう、細心の注意を払いながら下った。
峠へ戻ると2度目の昼食、おにぎりを食べた。そこに休憩していた登山者と
少し話し、靴を履き替え滑る準備をした。
まだ下りるのが勿体無いような天気だったが、もう一度パノラマを目に焼き付け
2時10分に滑走開始。スプーンカット状の雪の凹凸の振動が頭のてっぺんまで
伝わって来る。膝が添え木をあてているように動かない。幾度か立ち止まって
修正を試みたがダメ、膝が疲れ過ぎ。途中の岩陰でコーヒーを沸かしている人
に話しかけた。「私も義務で滑っているような気がして」と言っていた。自分だけ
ではないと変な安心感。気を取り直して再滑走、雪の上に落石が多い。膝が慣れ
てきたせいか、先程よりはだいぶ良い。
2時35分無事に雪尻到着。滑って来た斜面を振り返る。天気に恵まれ
立山も剣も見えた、良い日だった。また靴を履き替えスキーをザックに
括り付けた。登山道に出て針の木自然遊歩道を歩いてみた。山桜や
キヌガサソウ、ガマズミ、ミツバツツジなどの花が咲いていた。コゴミと
思われる若芽もあったが自信がなかったので採るのはやめた。ほんの
少しの高度差で花と雪に分かれる。この差は何だろう、温度だけではない
ような気がする。針の木自然遊歩道は少し遠回りだったが沢沿いの
作業道よりずっと風情があった。
駐車場へ戻るとスキーウエアを片付けている人がいた。こちらが板を担いでいた
ので会釈してくれた。板は山に置いて来たとのこと、またすぐ来るからと言っていた。
去年は三十数回、この針の木雪渓へ通ったそうだ。今年63歳と聞いてまたびっくり。
私は何歳まで滑る事が出来るだろうか?いつまでもこの人のようにありたいものだ。
4時20分扇沢を後にした。とりあえず風呂に入って膝のマッサージをと思い薬師の湯
へ寄った。腹は良かったので真っ直ぐ自宅へ向かう。午後9時帰宅。

こちらに写真